外房を活性化する各ジャンルのプロが登場!
インタビュー&コラム
中島 デコさん (マクロビオティック料理研究家)
【インタビュー3】
中島 デコさん
ブラウンズフィールド
マクロビオティック料理研究家
ナカジマ デコさん
中島さん主催の料理教室やカフェには、国内外問わず、中島さんのファンが各地から集まってくる。なぜ、こんなにもマクロビオティックな料理への関心が高いのか。改善すべき現代人の食生活を中心にお話しをうかがいました。


一般の女性もそうですが、日本でもアメリカでも、著名人がマクロビオティックを実践していますね。マドンナさんやトムクルーズさんなど、愛好家としてたびたび紹介されていますよね。

私のお友達がマドンナさんの食事を作っていました。そのお友達が言うには、とっても素敵な女性だと褒めていました。毎日マドンナさんに食事を出すような、ずっとそばにいる人でも、彼女のことを悪く言わないんです。よほど素晴らしい女性なんだと思います。私は会ったことはありませんが、とっても素敵な女性なんでしょうね。あの歳になっても、ずっと長い間トップで活躍できるのは、体力づくりなど日々の生活面の努力と食事のおかげだと思います。
現在、女性を中心にマクロビオティックへの関心が高まっている背景には、どのような要因があるとお考えでしょうか。
もっと男性にも興味を持っていただきたいと思いますが、女性の関心のほうが圧倒的に高いですね。
子供を産んで育てる性ですから、自分の体だけではなく、大切な赤ちゃんを守るという意味で、現在のこの危険な食生活に、男性より先に気づき始めているのだと思いますよ。このままではいけないと思っているのが、女性ということになるのでしょうか。今、社会は、方向転換期をむかえているんだと思います。
最近は特に女性の考え方や感覚が、いたるところで社会に反映されるようになりました。
男の人がトップにたって回す社会は、すでに行き詰っているのではないでしょうか。
女性が総理大臣になって社会を変革せよとは言いませんが、暴力を振るわない、平和で優しい、丸い柔軟な女性の気持ちや考え方がもっと社会に反映されるほうが、みんなのためになると思います。
戦争のため、兵器をたくさんつくったり、原子力をたくさんつくったりというのは、すごく時代遅れの行為です。そういう暴力で統治する男性的な世界は、もう必要ないと思います。
これからは、もっと当たり前の精神的な世界を大事にするべきです。昔のおじいさんやおばあさんたちが、毎朝、お天道様に手を合わせて、生きていることに感謝してきたように、そのような精神的な世界をみんなで大切にすれば、静かで平和で優しい世の中になると思います。
きちんとした食事のことを考え出すと、政治や経済など様々な問題と向き合うことになるんですね。
マクロビオティックは、食に関する活動ですが、ただ健康に食べることだけに関心があるのではなく、環境問題であったり、人の生き方であったり、世界の平和であったり、すべてにつながっています。
だから、私は、マクロビオティックに常に興味が持てましたし、長年続けてこれたんだと思います。
そして、多くの人に知ってもらいたいと思います。
肉を食べると、荒々しくなって、いつも攻撃的になったり、怒りという感情が全面に出ますが、野菜だけを食べていると怒ることが少なくなります。
菜食の動物を頭に描いてください。みんな優しい動物ばかりでしょう。しかも、馬力という言葉もあるように、大きくて、力もありますよね。草だけ食べているのに、どうして優しくて力があるのかなぁっていうところを、きちんと見直してもらいたいです。
肉が栄養になるという考え方、それも時代遅れですね。
私は、30年間マクロビオティックを実践し、肉・魚・添加物とは縁のない生活を続けてきました。こんなに健康ですよ。
ハンバーガーを選ぶこと、それ自体、添加物を食べることを受け入れて、体を壊すことを受け入れて、森林伐採を受け入れて、温暖化を受け入れて、そのようなお金の使い方をしている自分を受け入れています。
自分の将来と地球の未来をすべてだめにしていることに気付いてほしいです。食を変えれば、連鎖して、社会は変わるんです。それが、このマクロビオティックのおもしろいところでもあります。
中島先生は、とってもおしゃれですね。何か意識されて洋服を選ばれているのですか。
オーガニックのコットンだったり、麻だったり、そういう自分にとってお気に入りものをつけていたほうが、気も休まるし、気持ちがいいし、自然にそのようなファッションになってしまったということかな。
流行にながされると、時代が変われば、それを箪笥の奥にしまっちゃったり、捨ててしまうことになりますよね。無駄ですよね。
だから、人の目を気にせずに、自分が好きなブランドだけをずっと身につけるってほうが、すごく楽じゃないですか。
先生のホームページには、「スローでクリエイティブな生活」と記述がありました。どういう意味でしょうか。

種をまく生活って、本当にスローでクリエイティブな生活なんだと思います。
お米や野菜を作って、それで自分の体も作っていく。一番クリエイティブな仕事だと思います。
でも、なかなか農業だけで生活するのは難しいですよね。だから、私は、半農半X(エックス)を進めています。
半分農業をやって、半分は自分の好きなことをやるというライフスタイルです。
生活の半分は、自分が好きなことを追求して、それで多少お金を得ます。そして残り半分で、農業をやって、自分自身の自給率をあげて、出費を少なくする。そうすれば、すごく少ないお金で企業の奴隷にならずに、生きていると思いますよ。
衣食住いたるところで、われわれ日本人の生活は完全に欧米化されており、その意味では、日本人とはどんな人種であり、どのような生き方を選択すればよいのか、まったくわからないまま生きているのが、現代の日本人だと思います。中島先生にとって、現代の日本で誇れるものはありますか。
日本の古来の食事、とくに発酵文化はすばらしいと思いますよ。
味噌、醤油、みりん、麹、お酒、梅干しだとか、すばらしい食文化があるにもかかわらず、いろんな物を添加して、早く熟成させて、待たない食生活になってしまいました。梅干しは、もともと保存食だったはずなのに、今の梅干しには保存料がはいっているんですよ。
まともな梅干しを探すほうが難しいって、おかしな世の中ですよね。(笑) こういうところに疑問を持ってほしいんです。
そして、そういう誇れるものを世界に広めていけたらいいと思います。
大手の醤油会社が作った添加物がはいったものが、今は醤油だと思って言いますけど、自分で作った醤油はおいしいですよ。
写真家として有名なエバレット・ブラウン(Everett Brown)さんは、アメリカ出身のご主人ですが、同じような食事をとられていますか。
子供のころは、普通のアメリカ人と同じような食事をとっていました。
今は、お肉も食べたりもしますが、基本的には体を大切にしているから、マクロビオティックの食事は大好きですよ。
これからのブランズフィールドの活動や、目標を教えていただけますでしょうか。
今、国内外から集まる若者と一緒に、合鴨農法による古代米つくり、オーガニックな野菜作り、マクロビオティックな食事を通じた、シンプルライフを実践しています。
これからは、自分たちができる範囲で、もっと自給率を上げていきたいですね。
持続可能なエコビレッジのような、コミュニティーのモデルをつくっていきたいと思います。そのためには、米、野菜の自給率をもっとあげたいと思います。
エネルギーの面で、いまは、電気や灯油やプロパンガスに頼っているけど、なるべく、そのようなエネルギーは使わない生活がしたいと思っています。電気のかわりに、太陽光発電を採用するなどして、非電化のものを取り入れていきたいです。私たちが所有している車の中に、天ぷら油カーがあって、揚げ物のあとで廃棄する油を精製し走らせています。
雨水もきちんとためて、お掃除の時などはそれを利用します。持続可能に効率よく再利用できるものは利用して、無駄を作らず、感謝の心ともったいないの精神をもって生活しています。
いろんな方にここに来ていただき、ノウハウなど様々な情報を交換しながら、全国にこのような活動が広がっていくことを希望いたします。常時、ここには8名ぐらいの研修生がいますが、このような活動が学べる場所が全国いたるところにできればいいなと思っています。
中島様は、現在、どのような日課を過ごされていますでしょうか。

ここは、いろいろな人が集まって来ますので、大家族のようになっていますけど、その中で普通に生活していますよ。
朝起きて、食べて、働いて、また食べて、働いて、寝て、みなさんと同じように普通の生活しています。
仕事は畑仕事をしたり、カフェでお料理を出したり、このように取材に答えたり、地方でお料理教室を開いたり、海外に出かけたり、さまざまで、本当はもっと畑仕事をたくさんしたいのですが、なかなか両立は難しいですね。
化学肥料を使わない農法は大変困難をともなうと思いますがいかがでしょうか。
長い間、化学肥料を使用しない自然農法をやっているところでは、土も元気になり、たとえば、アブラムシが発生すれば、そのアブラムシを食べてくれる虫が発生し、作物は自然と安全に育つ環境が整うと言われています。
化学肥料を使えば、土地を汚し、そして自分たちも汚すことになります。農薬を飛行機で空中散布して、そこを学校に行く子供たちが通り、その有害な空気を吸っているんですよ。怖いですよね。車が錆びるといけませんからといって、ビニールシートを持ってくるのですが、そんなに危険な液体をバラまいているのです。ビニールは一回使ったら、捨てます。何もいいこともないのに、どうして危険で無駄なことを繰り返しているのか、納得できません。
農薬を使うことで、自然の連鎖は遮断されてしまいます。それにより、土が枯渇し、また化学肥料をやるという悪循環に陥ります。
食べ物でも、農業でも、なんでもそうですが、良循環にもっていくまでは大変ですが、一度、その状況を作ってあげると、あとは、うまくいくように、宇宙の秩序はセットアップされているんですよ。それを人間が自ら、その連鎖を切り裂いてきたんですね。
無農薬で栽培していますので、私たちが作った野菜やお米などは、鳥や虫たちに食べられます。取られたと思えば、腹も立つかもしれませんが、分け合っていると思えばいいんです。お野菜もできればできたでうれしいですし、できなかったとしても、ここは、半農半X(エックス)ですから、気楽な感覚で農業をやっています。
今後の夷隅地区は、どのような町づくりを進めるべきでしょうか。中島様にとって、理想的で住みやすい町とはどのような町でしょうか。
「有機農業や無農薬農業の推奨地区」のようなかたちで、全国にアピールすれば、多くの関心がある農家や消費者に大きなインパクトを与え、宣伝にもなると思うんですよね。有機農業や無農薬農法は、手間がかかります。でも、そのノウハウがあれば、研修制度を設けて、全国から農業を学びたい人を招くことができます。研修生として受け入れれば、労働力が確保できます。
お年寄りには知恵があります。その知恵をもっと利用して、若者に伝えていくことにもなります。お年寄りから若者まで、幅広い年齢層の方々が共存できれば、町が生き生きしてきます。本当にすばらしい町になると思うのです。誰にとってもメリットがある仕組みを作ることが必要です。
耕作放棄地が少なくなれば、里山の景観もすばらしくなります。
ただ、民間レベルでの活動では限界がありますので、ある程度自治体にサポートしてもらいたいですね。そうなれば、大変おもしろい町おこしにつながります。
でも、現実は、様々なしがらみがありますので、簡単に実行できるとは思っていません。マクロビオティックだって、これだけ有名になったのであれば、テレビで専門のチャンネルが放送されてもいいと思うんですよね。でも、乳製品や冷凍食品の企業スポンサーからクレームがはいったりと、さまざまな問題がその背景にはあるのでしょうね。
この夷隅市の学校給食には、有機農業を使った食材を必ず使うと宣言することもいいですよね。他の県に対して、夷隅のイメージアップになりますし、アピールにもなりますし、町自体が活性化されると思うんですよね。体にいいことをもっとやって、そして町おこしにつながるとなれば、なぜ早くやらないのか不思議に思います。
自分たちの利益だけでなく、もっと真剣に、政治家や大人たちには、安全で健康な食について考えてほしいと思います。ぜひ、そのような町に、夷隅がそっせんしてなっていくことを期待していますし、なれると思います。その先には、すばらしい未来が待っています。
最後に、子供たちにメッセージをお願いいたします。
子供たちに言う前に、まず親がコンビニやファーストフードを危険な食べ物であると認識してほしいですね。そして、それを自分の子供に食べさせることは、子供を傷つけていることと同じことであって、それ自体が大変な罪であることに気付いてほしいです。食についてきちんと子供に教育していくこと、それが大人の責任だと思います。
子供たちには、もっとお母さんに手作りの物が食べたいってわがままを言ってほしいです。簡単なものでいいから、お母さんの手作りのご飯やおやつが食べたいよって、もっとメッセージを発信してください。そうしなければ、子供たちは、自分自身の体を壊すことになるし、長生きできなくなりますから。
ケチャップやマヨネーズの味を覚える前に、体にいいお味噌などの発酵食品などをたくさん食べてほしいです。そして、もっとお米を食べてください。
元気で健康な大人になって、土や水や空気を大切にして、地球を守ってもらいたいと願っています。それは、すべてけっきょくは自分のためになるってことをわかってほしいです。
